リボンの騎士 感想戦

リボンの騎士の大きな捉え方は昨日書きましたが、今日は登場人物を細かく見ていこうかなと思います
サファイア高橋愛)・・・終止まっすぐな演技で好感が持てました、男の心と女の心で揺れ動く感情がちょっと希薄だった感じもしますが、余計な小芝居っぽさがなかったので非常に見やすくかんじましたね。力強さではなく違った武器、可憐さであるとか可愛らしさが色濃く感じられました。ただ見ている観客を動けなくするくらいの鬼気迫る場面を作って欲しかったなぁって思います。

大臣(吉澤ひとみ)・・・サファイア暗殺を企てたり、自分の息子を王に仕立て上げたりするわりには悪っぽさが感じられず、だからといって自分の息子に対する愛情が物凄く強かったという想いは伝わってこなかったですね、その点がキャラの弱さに繋がってしまったのではないかと思いました。それから最後の場面で改心する前の段階の無言劇、背中で語るあの演技は『苦悩』が感じられず、ただ流れに乗った感があり、見せ場をひとつ損したように思えちゃいました。個人的にはフランツ役をやらせた方が持ち味が発揮できて良かったのではないかと思います。

家臣ナイロン(小川麻琴)・・・常に大臣に引っ付きまわって大臣のわがままに振り回されるけど、どこまでも大臣についていこうとするあの真摯な気持ち、その反面大臣のやり方に疑問を抱いてる葛藤がこの役の見せ場だったのではないでしょうか? 『悩みながらも生き抜く』あまり目立った役ではないかもしれませんが非常に味のある役どころだったと思います。悪になりきれない善人さが出ていてなかなか良かったと思いますよ。

ヌーヴォー/淑女(新垣里沙)・・・淑女達で踊る場面は非常に華やかで素晴らしかったと思います。フランツ王子を追いかける仕草、どこか間の抜けた感じが見ていて好感が持てました。ヌーヴォー役はかっこ良かったと思いますよ、『我々はあなたを信頼している。だからこうして集まった』あの台詞は非常に実直で、騎士としてのヌーヴォーを魅せる事の出来る良い場面でしたね。

魔女ヘケート(藤本美貴)・・・う〜ん、今回の公演内容、少ない出番と台詞では若干消化不良を起こしてしまうかも知れませんね、実際自分も『???』ってなりましたから。 ヘケートの歌う楽曲に全ての気持ちは詰まっている事は確かなんですが、ちょっと残念でしたね。愛に飢えそれがゆえに愛される事を誰よりも願う心、しかしそれは一方通行で本当に求めていたものではない事に気がつき『優しさ』を手に入れるあの場面の、ヘケートの揺れ動いた心情があれだけでは伝わらないですよ。「え?いつの間にか良い魔女になっちゃった」そう思われても仕方ない感じでしたね。物語にアクセントをつける役どころなのか、主役クラスなのかどっちとらずな感じで非常に惜しいなぁって想っちゃいました。

トルテュ/淑女(亀井絵里)・・・騎士としての見せ場は凛々しさよりも可愛らしさが先行していたように感じられました、その点がプラスポイントでありマイナスポイントであったかなと思います。逆に淑女の場面でのバカっぽさをだした演技は楽しく観ることが出来、持ち味を発揮できていたように感じました。少ない出番でどうインパクトを与えるか物語りにアクセントをつけるか簡単なようで難しい役どころでしたね。

リュー/淑女(道重さゆみ)・・・リュー役、淑女役どちらの時も可愛らしさが引き立っていたように感じられました、物語の中で気を張っていた所にふっと休憩を入れることが出来る場面に仕上がっていましたね。淑女達で踊る場面も身長が高いので舞台栄えしており、見ていると引きこまれる感覚がありました。

リジィエ/淑女(田中れいな)・・・リューとのコンビでの場面が見せ場なわけですが、こちらも可愛らしい役どころで見ていて心が安らぐような感じでしたね。大きな役どころではないのでリューにしろリジィエにしろ一点集中くらいの気持ちでこれからの公演に取り組んでもらいたいですね。

大臣の息子(久住小春)・・・バカな王子だけど実は色んな事をしっかり考えているという人物像がしっかりと見えており、正直ホントお見事だったなと思いましたね。最後の場面でちょっと物足りなさもありはしましたが、それでも大臣の息子の心情が伝わってきたのは素晴らしかったと思います。変に癖がついていない分ナチュラルに役を捉える事が出来たんでしょうね、この先も大きな演技だけど自然体な演技を続けていってほしいなと思いました。

フランツ王子(石川梨華)・・・常に一生懸命なのは伝わってきました、各場面場面においてもフランツの心情をよく出せていたと思いますが、フランツの苦悩がちょっと感じ取れなかったかなとも思いましたね。誇り高きプライドというか近寄りがたさがありながら、でも初めて恋をしたその熱い魂がもうちょっと上手く表現できればなお素晴らしかったのではないかと思います。それでも真剣な眼差しは非常に素晴らしく見ていて好感がもてました。

トロワ/淑女/近衛兵(三好絵梨香)・・・淑女・近衛兵の場面はまぁ無難にこなせていたかなと思います。トロワの場面は非常に大きな見せ場なんですが、ちょ〜っと台詞を急ぎすぎましたね、『こういった台詞を言ってこういった動きをする』みたいな流れ作業的な感じがしてしまいもったいなかったなと思います。牢番としてどんな仕事でもこなすのか?人としてトロワとして自分の良心に乗っ取って動くのか、その中で揺れ動く心があの場面での一番の大切な事、それがちょっと物足りなく感じてしましました。

コリン/淑女/近衛兵(岡田唯)・・・トロワとの友情そして生きると言う事、それが伝えたい事だったんでしょね、目立った演技ではありませんでしたしトロワと同じで急ぎすぎてしまった感じがしてしまいました。牢番といった職とは一体どんな職で役割なのか?その中で心の葛藤がある、そんなものを魅せ付けて欲しいなと思います


一通り書きましたが、見返すとちょっと手厳しい意見が多かったかな?^^;
魅力のあるミュージカルかそうでは無いかで言えば、非常に魅力的なミュージカルだったと思いますよ
そりゃ、ミュージカルを本業としている方々とのレベルというかその差はもちろんあります
でも、完璧な演技だけがミュージカルの全てではないと思います、様々な魅力に溢れた舞台になっている事の方が重要だと思います、それを一つあげるとすればモーニング娘。の明るさ楽しさであったり、歌声であったりするのではないでしょうか、もちろんその他にも色んな見所・魅力のあるミュージカルに仕上がっていると感じました
本当に明るく華やかで楽しいミュージカルでした^^